北京から締め出される出稼ぎ労働者

98年2月15日  田中 宇


 中国で失業問題が深刻化している。中国の大都市では最近まで、国営企業を首になっても、ホワイトカラー系の仕事に再就職することは難しいが、低賃金の仕事なら比較的再就職しやすい、という状況だった。

 だが、北京市政府が2月9日に実施した政令をみると、事態は以前より深刻になっていることがうかがえる。

 北京市で実施された政令は、市内の企業に対して、地方から出稼ぎにきた人々を雇用しないよう定めたもの。出稼ぎ者を雇っている企業は、20日以内に解雇するよう命じている。

 これには道路清掃など、これまで北京市民には人気がなく、出稼ぎの人々が主にたずさわっていた低賃金の仕事も含まれている。北京ではすでに、建設作業員や公衆トイレの管理人などの職種からも、出稼ぎ労働者を締め出している。

 こういった仕事からも出稼ぎ者を追い出さなければ、もはや国営企業を首になった人々の再雇用先を確保することができない状況になったということである。

 北京の失業率は、公式発表によると1%だが、欧米系のアナリストの概算では実際は15%を超えているとみられている。仕事を失う出稼ぎ労働者が増えることは、政府への不満の高まりや、治安の悪化につながるおそれもある。

 中国の失業問題は、中国の産業の大部分を占める国営企業の多くが、市場経済の中での競争力を失って経営不振に陥り、従業員の合理化を進めざるを得なくなっていることが原因だ。

 それに加え、改革開放政策により、国内移動の自由が増大したため、以前から余剰人員を抱えていた農村から大都市へと大量の出稼ぎ労働者が流入している。

 





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