パキスタン・証拠隠滅によるブット前首相の起訴困難で再びどんでん返しか
(96.12.28)
首相だったブット女史が経済破綻と汚職の責任をとらされて大統領から首を切られてから、約1ヶ月半が過ぎた。臨時のカリド首相は、ブット女史とその夫で投資担当大臣をしていたザルダリ氏を汚職関連の容疑で逮捕、起訴し、来年2月の総選挙に出馬できないようにしたいところ。だが、司法当局者が汚職(公的支出の見返りにキックバックを求めた容疑など)の証拠書類を押収しに役所に行ったところ、重要資料のほとんどがすでに何者かによって持ち去られてしまっていた。
パキスタンでは、ブット女史率いる人民党(PPP)と、ナワズ・シャリフ元首相率いるイスラム同盟(PML)が2大政党だが、ブット女史だけでなくシャリフ氏も、汚職関連の容疑で検挙される可能性があるとされてきた。だが、容疑に関する資料は両氏の分とも集まっておらず、出馬できる可能性が強くなってきた。
ブット女史は、以前にも一度、首相の任期途中に汚職疑惑で当時の大統領から罷免されている。ところがその後の総選挙で再び勝利し、2期目の政権に就いた経歴を持つ、しぶとい人である。
ブット女史は、クーデターに倒れた英雄大統領である故アリ・ブット氏の娘で、父親の人気を引き継いで当選してきた。いわば、ビルマのアウンサン・スーチー女史や、インドネシアのメガワティ・スカルノプトリ女史、日本の田中真紀子女史と並ぶ、アジアの「4大英雄娘型政治家」である。前政権時代には、支持者たちに対する気前の良い大盤振る舞い(これが公金で行われたのではないかというのが汚職疑惑だ)の効果はまだ残っている(だからこそ気を利かせて誰かが証拠書類を持ち去った?)だけに、パキスタンの行方はまたまた不透明なものになってきた。
(12月26日付、ニューヨークタイムス参考)
★以前書いた文章 ブット元首相による私物化状態から立ち直れるか
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