中国から香港への密出国者が急増

1997年6月30日

 香港のメディアなどではすでにかなり報道されていることだが、香港返還を控え、広東省から香港への密航者が、今年初めから急増している。広東省の国境警備当局は、例年よりも警戒態勢を強めており、摘発者が増えている。

 中国政府は、香港返還を「帝国主義イギリスの植民地支配を終わらせる」という愛国的な出来事ととしてとらえ、これを機に、落ち目になっている中国共産党への求心力を復活させようとしている。そのため、国を挙げて香港返還を祝う運動が、今年に入って強化されてきた。

 当然、中国の人々の間で、香港に対する関心が高まる。そこを狙って、密航者の手引きをして金を儲ける犯罪組織「蛇頭」の関係者が跋扈した。「香港返還以前に香港に住んでいた者は、たとえ入国方法が違法でも、返還とともに許され、その後も中国領となった香港に住み続けることができる」という根拠のない噂を、広東省や福建省で流したのも、蛇頭だと言われている。

 これに呼応して、「もっと金を稼ぎたい」「農村は退屈だ」「国営企業で勤めても、失業状態が続くだけだ」などと考える人々が、借金をしても香港に密航したいと思うようになった・・・。そんなストーリーが、背景にあるように見える。

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