田中宇の国際ニュース解説
世界はどう動いているか

 フリーの国際情勢解説者、田中 宇(たなか・さかい)が、独自の視点で世界を斬る時事問題の分析記事。新聞やテレビを見ても分からないニュースの背景を説明します。無料配信記事と、もっといろいろ詳しく知りたい方のための会員制の配信記事「田中宇プラス」(購読料は6カ月で3000円)があります。以下の記事リストのうちがついたものは会員のみ閲覧できます。


田中宇プラス

有料配信の紹介
(新規登録はこちら)

登録情報の変更
購読料の納入

(会員メニュー)


無料配信登録

メールアドレスを入力
同じ内容の記事を「まぐまぐ」でも配信しています

サイト内記事検索


特定商取引に基づく表記

個人情報保護方針

北朝鮮に甘くなったトランプ
 【2018年6月15日】 シンガポールで行われた米朝首脳会談は、事前にばらまかれた憶測と、現実の会談の中身が大きく違っていた。確定した合意文書の中身が薄かった半面、会談で示唆されたこと、象徴的なこと、感じ取れることが豊富だ。あれは一体、何だったのか。深読みが不可欠だ。主導役となった米トランプ大統領が、金正恩との首脳会談を皮切りに開始したことをキーワードで列挙すると(1)ダブル凍結、(2)トランプ式の太陽政策、(3)金正恩を北朝鮮のトウ小平にする、の3点である。

在韓米軍も在日米軍も撤退に向かう
 【2018年6月9日】 6月12日の首脳会談で米朝が和解し、在韓米軍の撤退が決まったら、在日米軍も撤退ないし大幅縮小するのだろうか。日本にとって最重要な問題はそれだ。私の分析では、在韓米軍だけでなく、在日米軍も全撤退に向かっている。もし米国が今後も日本に米軍を駐留させ続けるなら、日米は東シナ海に関して中国の脅威の扇動を加速せねばならない。だが実際には、米国も日本も最近、東シナ海における中国の脅威を扇動しなくなっている。日本と中国は、軍事対立を避けるためのホットラインを6月8日に開設した。在日米軍が今後も駐留するシナリオに沿うなら、こんなもの作ってはダメだ。

貿易戦争で世界を非米・多極化に押しやるトランプ
 【2018年6月8日】 同盟諸国を敵国扱いして懲罰関税をかけるのは、トランプの意図的な戦略だ。米国は従来、ドルの基軸通貨性を維持するため、積極的に米国市場を無関税で世界に開放し、対米輸出する諸国は輸出代金で米国債を買い込み、この需要が米国債の金利を下げ、米国が貿易と財政の双子の赤字を拡大してもドルと米国債による経済覇権が維持される仕組みだった。覇権放棄を隠れた主戦略としているトランプは、同盟諸国からの輸入に対する関税を引き上げることで、この仕組みを壊そうとしている。

グレイトになって戻ってきた米朝首脳会談
 【2018年5月29日】 私は以前の記事で、トランプの会談中止の書簡は、北が米国を敵視する言動をとったので、それをやめさせるためだろうと書いた。だがトランプの策は、そんな敵味方的な心情論や沽券の話でなく、北に大胆な核廃絶をやらせるための恫喝だったと考える方が妥当だと思い直している。トランプは、書簡に対する北の反応に満足し、予定どおり首脳会談しそうな感じになっている。米朝首脳会談は、トランプにとって前よりグレイトなものに、軍産や日韓の対米従属派にとって前より危険なものになって戻ってきた。グレイトという表現は、トランプの標語「米国をグレイトな国に戻そう!」(MAGA)に引っ掛けた。

MH17撃墜事件:ひどくなるロシア敵視の濡れ衣
 【2018年5月28日】 MH17撃墜事件の合同捜査班(JIT)は、事件に関する重要な情報を非公開にしたまま、匿名や出所不明の怪しい情報を積み上げてロシア犯人説を構成している。捜査班のロシア犯人説は、濡れ衣である可能性が高い。米国やNATOが捜査班の情報源になっていることから考えて、これは米政府のロシア敵視策の一環だ。とはいえ捜査班の発表のタイミングや濡れ衣の稚拙さに注目すると、これはトランプによる「濡れ衣のロシア敵視策が稚拙に過激にやることで、これまで対米従属で米国のロシア敵視策に追随してきた欧州(独仏)を親露・対米自立に追いやり、ロシアを隠然と強化する多極化・米覇権放棄策」かもしれない。

米朝会談を中止する気がなく交渉術として中止を宣言したトランプ
 【2018年5月26日】 そもそもトランプが「北朝鮮は敵対的なことを言うのでけしからん。会談は中止だ」と書簡で宣言したのは、北を改悛させて「もう敵対的なことを言いませんから会談してください。おねがいです旦那様」と言わせるための交渉術であり、本気で会談を中止する気など最初からなかったと考えられる。

米朝会談後、在韓・在日米軍撤退の話に突然なる?
 【2018年5月24日】 文在寅やトランプは、在韓米軍の撤退にできるだけ言及しない方が良い。正恩トンムにもその状況を伝え、在韓米軍の駐留継続にこだわってないかのような演技をしてもらうのが良い。6月12日に米朝会談が成功裏に終わり、南北と米朝の和解の流れが不可逆的に起動に乗って、軍産が和解を潰せないようになってから、在韓米軍の話が出てくるのが良い。それまで、米韓日の軍産や対米従属派には「米朝が和解するわけないじゃん。在韓・在日米軍は永遠だ」と勘違いさせておくのが良い。

英スクリパリ事件と米イラン協定離脱の関係
 【2018年5月23日】 米覇権放棄・世界の多極型への転換を隠然と進めるトランプ陣営は、転換を阻止する英国を無力化するために、米英諜報界の一体性を使い、スクリパリ事件を起こした。それは、米国のイラン協定離脱後、ドイツ主導のEU(欧州大陸諸国)が、英国に妨害されずに対米自立し、欧米間に確実に亀裂を入れ、米覇権の解体を加速するためだった。スクリパリ事件でメイ政権が失敗しなかったら、英国は、ドイツにもロシアにも米国にも、もっと影響力を行使できたはずだ。

イラン・シリア・イスラエル問題の連動
 【2018年5月20日】 米トランプ大統領が手がけている中東の3つの問題・・(1)イラン核協定からの離脱、(2)シリアで露イランアサドを敵視しつつも彼らが内戦を平定していくのを黙認していること、(3)駐イスラエル米大使館のエルサレム移転・・は、それぞれ別々に進んでいるように見えて、実はかなり深く連動している。欧州が、対米従属から離れ、露イランと協調する側に転じていきそうなことが、連動性のひとつの要素だ。

朝鮮戦争が終わる(2)
 【2018年5月13日】 シンガポールで行われる米朝会談で、金正恩が核廃棄を約束し、トランプが米国の北敵視の終了を約束して会談が成功裏に終わると、ちょうど通りかかったかのように、そこに習近平が入ってきて、米朝が和解したので朝鮮戦争を終わらせようと3人で合意し、あらかじめ用意してある終戦協定に3人で署名する。この瞬間に、朝鮮戦争は正式に終わり、和平の確立に向けた動きが始まる・・・・。

トランプのイランと北朝鮮への戦略は同根
 【2018年5月11日】 トランプのイランと北朝鮮への戦略は、世界の面倒を米国が見るのを放棄し、露中やEUなど他の諸大国に面倒を見させる覇権放棄・多極化の策である点で一貫している。トランプは、米国が北と和解して米国の傘下に入れるのでなく、北と和解して朝鮮半島の対立構造を解き、在韓米軍が不要になるように導き、南が米国の傘下で北が中国の傘下だった冷戦構造を解いて、南北ともに中国の影響圏に押しやる(戻す)ことをやっている。

トランプがイラン核協定を離脱する意味
 【2018年5月8日】 米国がイラン核協定を抜けた場合の問題点は、イランが核兵器開発を再開することでもなければ、米国がイランに戦争を仕掛けることでもない。米国がイラン核協定を抜けた場合の問題点は、米国の覇権喪失と世界の多極化に拍車がかかることだ。イラン核協定の体制が米国抜きで維持され、欧州や露中が、米国を外した多極型の国際社会を運営する傾向が強まる。トランプのイラン核協定からの離脱は、覇権放棄・多極化の策である点で、TPPやNAFTA、NATOからの米国の離脱と同種の流れだ。

朝鮮戦争が終わる
 【2018年4月30日】 トランプの米国はおそらく、北のCVIDの判定に中国を参加させる。CVID地獄は回避される。北の核は「完全廃絶」される。北は核の一部を隠し持つかもしれないが、それは公式論にならない。この流れの前提で今回の南北首脳会談の声明文を見ると、今回は00年や07年の会談時と異なり、本当に南北が和解していく道筋が示されている。「朝鮮戦争が終わるぞ」というトランプの宣言どおり、板門店宣言に沿って南北の和解が具現化していくのでないか。金正恩は、張成沢を処刑したことなど忘れたかのように中国にすり寄り、経済成長戦略に備えてトウ小平伝を読んでいる。

北朝鮮が核を持ったまま恒久和平
 【2018年4月23日】 4月20日の北朝鮮の核開発終了宣言は、米朝和解を進めたい米国のトランプ、南北和解を進めたい韓国の文在寅、それらを支持する中国の習近平、ロシアのプーチンといった米韓中露の動きと同期している。いまの米韓中露と北は全員が、口だけ「朝鮮半島の完全な非核化をやる」と言いつつ、実のところ、非核化が意味するところの「北の完全な核廃棄」でなく、北が核兵器(の一部)を隠し持つことを黙認したうえで米朝や南北が和解して朝鮮半島問題が解決される道筋を好んでいる。

シリア政府は内戦で化学兵器を全く使っていない?
 【2018年4月18日】 シリア内戦の72回以上の化学兵器使用のなかで、シリア政府軍が化学兵器を使ったと確定的に言える事案が一つもない可能性がある。シリアのISアルカイダは、サリンや塩素ガスを持っている。政府軍が通常兵器で攻撃してくるとタイミングを合わせて化学兵器を手製のロケット砲や手榴弾などの形式で発射し、住民に被害が出ると、その場で撮影(もしくは事前に制作)した動画をアップロードし「政府軍が化学兵器で攻撃してきた」と喧伝し、それを受けて米英で、ISカイダを支援する軍産の一味であるマスコミと当局が「アサドの仕業」を確定することを延々と繰り返してきた。

シリアで「北朝鮮方式」を試みるトランプ
 【2018年4月14日】 軍産複合体は、ロシアと戦争したくない。米露戦争は人類破滅の核戦争になる。とろ火の米露対立を長く維持し、米国の世界戦略を牛耳り続けるのが軍産の目標だ。トランプはこれを逆手に取り、軍産が起こした濡れ衣の化学兵器攻撃劇を機に、本気でロシアと戦争しそうな感じで突っ走って軍産をビビらせ、軍産に「ロシアと戦争しないでくれ」と言わせ、それに押される形で、米軍のシリア撤退もしくは米露協調を実現しようとしている。トランプは北朝鮮に関しても過激な「先制攻撃」を言い続けて軍産を「反戦」に追いやり、米朝会談の開催につなげた。トランプは今回、シリアで「北朝鮮方式」を試みているわけだ。

英国の超お粗末な神経ガス攻撃ロシア犯人説
 【2018年4月7日】 英政府が拙速でお粗末な動きをしたため、スクリパリ事件のロシア犯人説は信憑性が急落した。英国の国際信用が低下し、ロシアの対応の正しさが確認された。今回の失態は、慎重さを重視する伝統的な英国の外交姿勢と異なっている。英諜報界の反逆分子が、たぶんノビチョクでなくもっと無害な毒物を使って今回の事件を引き起こし、英政府の上部を騙してロシア犯人説を信じ込ませて対露制裁をやらせ、強烈な英露の敵対を誘発したうえで、ロシア犯人説が無根拠であると後で露呈していくよう仕向け、英国の威信の低下と、ロシアの影響力の増大を意図的に招いた感じだ。

米朝会談で北の核廃棄と在韓米軍撤退に向かう
 【2018年4月4日】 米国は、米朝首脳会談後の和解過程が進んでも、北朝鮮を国家承認しないかもしれないが、米朝会談が成功すると、米国の北敵視が大幅に減少する。韓国は北と相互に国家承認し、連邦制などによる南北の統合が話し合われていくだろう。南北間のプロセスが進むほど、韓国は対米従属から離脱し、在韓米軍を引き戻す状況から遠ざかる。日本も、米国が北を承認しなくても、北を国家承認すると考えられる。

トランプのバブル膨張策
 【2018年3月31日】 米トランプ政権は、リーマン危機後に作られたバブル再膨張を防止するドッドフランク法にどんどん抜け穴を作り、サブプライムやコブライトといったリーマン前のバブル膨張を扇動した高リスクな債券や融資の取引を急増させている。いずれ、トランプの任期が終わるころにバブルが大崩壊し、米国の金融覇権が崩れる。その準備のため、トランプは輸入関税を引き上げ、中国など世界の諸国を経済面の米国依存から追い出し、米国覇権が崩れた後も世界経済が回るよう、中国などが非米的・多極型の世界体制を作るように仕向けている。

米覇権の転覆策を加速するトランプ
 【2018年3月29日】 米国の覇権戦略立案の奥の院CFRの会長が、トランプによる米国覇権の引き倒しと多極化を指摘する論文「リベラル世界秩序の死」を発表した。自由貿易体制の放棄、中国との貿易戦争、イラン核協定からの離脱、英スクリパル事件でのロシア敵視など、トランプが矢継ぎ早に打ち出す強硬策が、米覇権の転覆を加速する。CFR論文は、米覇権の終わりが世界の繁栄や平和の終わりになると嘆くが、現実は違う。米覇権はベトナムやイラクなど戦争の連続だったし、米覇権の延命策の経済面である中銀群のQEは繁栄を壊すバブル崩壊につながる。トランプの策の方が、今後の覇権崩壊時に世界を軟着陸させる。

中東大戦争を演じるボルトン
 【2018年3月25日】 トランプはかつて自ら出演するテレビドラマのシナリオ立案をやっていた。大統領になってからも、自身の役どころも含め、政治駆け引きのシナリオ立案をして、ドラマ仕立てで展開している。役者として見ると「濡れ衣戦争屋ボルトン」は興味深い存在だ。ボルトンを使ってイランとの中東大戦争を勃発寸前まで煽った後、イスラエルとサウジがうまく和解できないとか、イスラエルがシリアでの戦争を尻込みするといった行き詰まりを経て、イランとイスラエルとの兵力引き離しをロシアのプーチンに丸投げするなど、大方の予想と全く違う展開になりそうだ。トランプはこの手法で、すでに米朝会談を決めている。

米銀行間の信用不安
 【2018年3月22日】 米国で銀行どうしが融資し合わなくなり、融資の金利(LIBOR)が上昇している理由は、銀行が相互に信用しなくなったからだ。そうなった理由は、トランプの米政府が、米日欧の中銀群がQEをやめて保有債券を手放す勘定縮小を進める中で、それを穴埋めして金融バブルを維持する方法として、リーマン後に作った金融規制に抜け穴を多く新設して骨抜きにし、米銀行界が高リスクな投資をやって、QEなしでバブル膨張を維持するよう仕向けているからだ。銀行界は自分たちが危険をおかしていると知っているので、相互に資金を貸したがらない。それがLIBOR上昇、銀行間融資市場の消失、日欧中銀がQEを減らし、米連銀が勘定を縮小しているのに株価が高騰し続ける事態につながっている。

好戦策のふりした覇権放棄戦略
 【2018年3月20日】 国務長官を「穏健派」のティラーソンから「好戦派」のポンペオに交代させるなど、強硬姿勢の国際戦略を加速していると指摘されている。だが、北朝鮮、シリア、イランなどに関するトランプの最近の動きを見ると、好戦策は目くらまし的な見かけ上のイメージ戦略にすぎず、実際は、北朝鮮との和解、シリアからの米軍撤退、イラン問題への米国の不関与に向かって動いている。

米朝会談の謎解き
 【2018年3月14日】 米政府で外交を担当するのは国務省だが、国務省は軍産複合体の一部だ。トランプが米朝首脳会談を行うに際しての事務方を国務省に任せていると、国務省はトランプにわからないように妨害工作を行い、会談が行われないという結末になりかねない。そのためトランプは、米朝会談に至る事務方の仕事を、米政府の国務省でなく、文在寅の韓国政府にやらせてきた。

自由貿易の本質とトランプ
 【2018年3月12日】 1970年代以降の米国が輸入関税を非常に低くしている真の理由は、米国が政治的に自由貿易体制を信奉しているからでなく、米国が世界に輸出する圧倒的に最大の品目が、米国債からジャンク債までの「金融商品」「証券類(紙切れ)」であり、関税と無関係だからだ。米国はニクソンショックから50年近く、巨大な金融バブルを膨張させて世界から旺盛に輸入し続け、世界経済を牽引してきた。だが、あらゆるバブルは最終的に崩壊する。トランプは永続できない従来体制の転換を急かすために、米国の伝統を破って鉄鋼などに高関税を課したり、NAFTAやTPPから離反している。

いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連
 【2018年3月7日】 シリア内戦は、ロシアに支援されたアサド政権の政府軍の優勢が増し、ISアルカイダの反政府テロ組織の大きな支配地はダマスカス近郊の東グータだけになった。そこも徐々に制圧されている。だが、いまだに米覇権勢力(軍産)は、欧州諸国やマスコミを巻き込み、ISカイダ側がやった虐殺や化学兵器攻撃をアサド側のせいにする濡れ衣攻撃を続けている。米軍は対ヨルダン国境地帯に勝手に基地を作り、政府軍に負けて撤退してきたISカイダが東グータなどに転戦するのを助けている。軍産肝いりの国連の援助部隊は、テロ組織支配地の市民に救援物資を送るふりをして、テロ組織に物資を送って救援している。

トランプの貿易戦争は覇権放棄
 【2018年3月4日】 輸入鉄鋼に関税をかけても米国の製鉄業は便乗値上げするばかりで蘇生しない。トランプは、米国が背負ってきた世界覇権を放棄するために、世界が米国に愛想を尽かし、米国に頼らない世界運営を各国がやるよう仕向ける覇権体制の転換策として自由貿易体制を壊している。保護主義的な関税の対象として鉄鋼などを選んだのは、ラストベルトの有権者のトランプ支持を維持拡大し、中間選挙や次期大統領選挙に勝つことにつなげられる政治的な品目だからだ。

独裁と覇権を強める習近平
 【2018年3月1日】 習近平は、憲法を改定し、トウ小平が個人独裁を防ぐために作った最高指導者の任期10年制を壊して、自ら独裁者になる。これは米日で、習近平の醜い私利私欲の発露と評されているが、私はそうでないと考える。国際秩序が米覇権から多極型に転換する中、中国は、一帯一路などによってユーラシア東部の地域覇権国になりつつあり、それに合わせた転換を円滑にやる早道として、大胆な意思決定が難しい従来の集団指導体制を捨て、個人独裁制を始める。権力継承のやり方はロシアのプーチンに学んだのでないか。

ロシアゲートで軍産に反撃するトランプ共和党
 【2018年2月26日】 トランプがロシアのスパイだというロシアゲートの疑惑は、米諜報界・FBI司法省・米マスコミといった軍産複合体と民主党が、軍産に果たし合いを挑むトランプを潰すために捏造した無根拠な濡れ衣だ。根拠の大黒柱であるスティール報告書は、クリントン陣営が資金と情報を提供して英国MI6に作らせたものだが、中身がスカスカだ。最近、トランプの覇権放棄策の奏功によって、覇権勢力である軍産の力が低下するとともに、これまで軍産の傀儡だった共和党の主流派がトランプ支持へと寝返り、米議会の共和党勢力がロシアゲートの無根拠性を攻撃するメモを相次いで出し、FBI司法省に反撃し始めた。

米連銀が株価テコ入れのステルスQE開始??
 【2018年2月19日】 これまで不健全なQEをやめた後の資産健全化のため債券放出・保有削減を続けていたFRB・米連銀は、議長がパウエルになり、株や債券の相場が暴落したとたん、債券を再び買い込み始めた。連銀が市場に注入した資金が呼び水となり、株や債券の相場が反発した。連銀は、発表せずひそかに「ステルスQE」を再開した。これが来週以降もずっと続くと本格的な「QE4」となり、株や債券が再び上昇し続け、トランプ再選の可能性も増す。だがQEは不健全な政策であり、何年か経つと限界に達してやめざるを得なくなり、その時に金融システムが大崩壊する。

米国に頼れずロシアと組むイスラエル
 【2018年2月18日】 1月末にネタニヤフがプーチンと会ってイスラエルとイラン・シリア・レバノンの対立問題の解決を頼んだ後、おそらくプーチンの差し金で、シリアとレバノンの大統領が不可侵を約束する書簡をネタニヤフに送った。プーチンの仲裁で停戦交渉がひそかに進むと思った矢先、2月10日にイスラエルとシリア・イランが交戦した。その直後にはイスラエル警察がネタニヤフを起訴すべきと発表した。中東で影響力が落ちた米国を見限ってロシアの側に転向することで、イスラエルの自滅を防ごうとしたネタニヤフの動きを妨害したいイスラエルの右派が、イランの無人機がイスラエルに領空侵犯した話を捏造し、シリア・イランとの戦争を起こそうとした。だがその策謀は、シリアを攻撃したイスラエル戦闘機が、シリア軍によって30年ぶりに撃墜されて終わった。シリアの撃墜成功の裏にロシアの情報提供があった。

五輪で和解する韓国北朝鮮、わざと孤立する米国
 【2018年2月15日】 米国が北との外交交渉を拒否し、今にも北を先制攻撃しそうな中で、文在寅が静かに米国に見切りをつけて北と和解し、ダブル凍結で核問題を解決し、米韓軍事演習も韓国による一方的な延期で凍結され、米国は嫌々ながらそれに従う、いずれ在韓米軍の縮小まで至るという筋書きは、私が昨夏から予測していたものだ。今回の五輪で、それが一気に進んでいる。

米国の金融システムはすでに崩壊している
 【2018年2月13日】 昨年末から、米国の銀行間融資市場の残高が急減している。これまで金融バブルを支えてきた米欧日の中銀によるQEが、今年から縮小傾向を加速しするので、バブル崩壊を見越した米国の銀行界が相互の信用を失い、無担保融資をしなくなった。今回の株価暴落より前に、米金融システムの内部者どうしの信用が収縮し、すでに金融崩壊が起きている。トランプの圧力を受けた米連銀がQE再開の方向に転じない限り、この先どんどん金融崩壊が進行する。

中東の覇権国になったロシア(1)
 【2018年2月11日】 1月20日にトルコ軍がシリアのクルド人の自治都市に侵攻した件は、事前にロシアが了承していた。アサドを支援するロシアは、米国に頼ってアサド支配のシリアから分離独立していこうとするクルドを嫌っていたがそれを表に出さず、クルドを敵視するトルコのシリア侵攻を裏で認めることで、クルドがトルコに攻撃され、アサドの政府軍に泣きついてくるのを待った。露トルコアサドが、米クルドをへこます構図が進行している。

世界株価急落の行方
 【2018年2月6日】 投資家の株式購入の原資となっているジャンク債の利回りは上昇傾向が続き、しだいに急騰になっている。今の世界的な金融バブルは、オモテの中銀群のQEと、ウラの米国ジャンク債の大発行が組み合わさっている。現在5・37%のジャンク債の利回りが8%以上にまで高騰して下がらないと、史上最大の巨大なバブルが崩壊し始める。

TPP11:トランプに押されて非米化する日本
 【2018年2月1日】 米国は、今後しばらく世界最大の市場だ。米国がTPPを離脱せず主導し続けていたら、日豪加などは、中国の一帯一路に参加して儲けるためのTPP11でなく、米国に輸出して儲けるための反中国的な旧TPPで満足していた。だがトランプは勝手にTPPを離脱した。日豪加などはしかたなく、中国と協調するTPP11に衣替えした。トランプが、日豪加など同盟諸国を米国から遠ざけ、中国の方に追いやった。日本や豪州は対米従属の維持が難しくなり、中国と協調していく方向だ。

債券から見える米覇権放棄とバブル依存の加速
 【2018年1月30日】 今の米国は、QEの縮小と、覇権の放棄(喪失)によって悪化しつつある金融の状況(利回り、信用度)を、国内金融のバブル膨張によって穴埋めしている。その結果、米国覇権を象徴するドルや長期米国債の状況が悪化している半面、米金融のバブルを象徴するジャンク債や株価は輝かしい状態が続いている。

金地金の激戦
 【2018年1月28日】 1月に入り、日欧中銀のQE縮小の話を受けてドル安が加速し、金相場が急騰しそうなところに、下落側勢力が4回にわたり、ちからづくで相場を下げようとする猛烈なプログラム先物売りの攻勢をかけた。上昇勢力のプログラム買いと、下落勢力のプログラム売りがぶつかり合い、相場が激しく上下し、食べ物の「おもち」を引き伸ばした時のような「もちもち状態」の相場が展開した。「1分足」や「5分足」の詳細チャートでないと見えてこないオタク的世界だが、これが地政学的な「金融世界大戦」の現場である。

株高債券高・バブル膨張の中で進むドル基軸システムの崩壊
 【2018年1月27日】 米国などの株高・債券高は、日欧の中央銀行によるQE策によって起こされてきた金融バブルの膨張だ。日欧の中銀がQEを縮小し始め、その影響でドル安が加速している。それなのに株やジャンク債の相場は下落せず、史上最高値を更新している。この謎を解くカギは、トランプによる米金融界の規制緩和にある。リーマン危機の再来を防ぐために行われていた金融規制が緩和され、怪しげな債券の発行が急増し、QEの縮小で減った分の資金供給を穴埋めし、株と債券のバブル膨張が維持されている。バブルはいずれ大崩壊し、ドル基軸体制と米国覇権が瓦解するが、それこそが覇権解体屋であるトランプの狙いだろう。

トランプワールドの1年
 【2018年1月20日】 トランプはこの1年、TPPやNAFTAといった経済分野から、中東和平、イラン敵視、テロ戦争、北朝鮮といった多くの分野で、従来の米国覇権の世界体制を崩す覇権放棄策を展開し、かなりの成果をあげてきた。いずれの分野の動きもまだ道半ばだ。今年もトランプは、米国覇権に慣れきった全世界の軽信者たちの眉をひそめさせる驚きの覇権放棄策を矢継ぎ早に出し続ける。覇権転換が進むトランプワールドが展開している。

金地金の多極型上昇が始まった??
 【2018年1月14日】 今年から日欧中銀がQEをやめていくことは、米覇権の延命措置の終わりを意味し、先送りされていた覇権の多極型への転換が具現化していくことになる。ドルに代わる多極型の基軸通貨を早く準備せねばならない。金相場を動かす主導権を米国から中国など多極側勢力に移し、金相場を歪曲的な抑圧から解放し、相場上昇を容認する必要がある。それが、昨年末からの金相場上昇として具現化しているのでないか。

急に戦争が遠のいた韓国北朝鮮
 【2018年1月11日】 すでに韓国にとって最大の脅威を与える国は、北朝鮮でなく米国になっている。北朝鮮を平昌五輪に招待する案件は、文在寅にとって、北との緊張を緩和して在韓米軍を不要にして対米自立していくシナリオを目立たないように進めるための格好の隠れ蓑になっている。南北が政治的に対立している限り、韓国政府は、在韓米軍に出て行ってもらえない。韓国の対米自立には、北との緊張緩和が必須だ。五輪参加をめぐる対話の開始によって、南北間の緊張緩和が一気に進んでいる。

北朝鮮の核保有を許容する南北対話
 【2018年1月7日】 韓国が平昌五輪を機に、米韓軍事演習を4月まで延期しつつ北朝鮮と開始する南北対話は、北の核保有を黙認しつつ進められる。これは、露中韓が昨秋来進めてきた北核問題解決のシナリオに沿った動きだ。北が先に核廃絶を了承しない限り対話しないと言っている日米は、このシナリオから外れている。露中韓は北を取り込み、米日抜きで北東アジア安保の新秩序を作ろうとしている。この流れはトランプの覇権放棄策と合致している。次の注目点は、韓国の文在寅大統領が五輪後、南北対話を維持するために、今年の米韓演習を中止するかどうかだ。米韓演習は米韓の共同開催なので、文在寅の一存で中止できる。五輪後に米韓軍事演習が新たな予定通りに挙行されると、南北対話が再頓挫するだけでなく、韓国を国家壊滅させかねない米朝戦争の危険が再燃する。

まだ続く金融バブルの延命
 【2018年1月3日】 米国中心の先進諸国の金融バブルがいつまで延命できるかのカギは、ジャンク債の利回りだ。利回りが低い限り、無から有を生み出す米国の金融技能が有効で、バブルがさらに膨張しても維持できる。この金融技能が有効である限り、中露が米国を金融的に倒して覇権を転換させることはできない。多極化の前に、巨大バブルが崩壊してパンドラの箱が開き、米覇権が崩れてひどい経済難が起きる。多極型世界は、パンドラの箱から最後に出てくる、か弱い「希望」のようなものだ。


これより前の記事(2017年の記事)

 作者あてのメールはこちらからお願いします。リンクは、このサイト内のどの記事に対しても、自由に張っていただいてかまいません。